法律Q&A
残業代請求
- 1. 法内労働時間
私の会社は、週休2日で、出社が午前9時、退社が午後5時と決まっており、お昼休憩が45分あります。ここ1ヶ月の間、私は仕事が5時までに終わらず、午後5時45分まで残業していますが、会社は、法律上、1日8時間までは残業代が発生しないなどと言って残業代を払ってくれません。私は、午後5時以降働いた分を残業代として請求したいと思いますが、可能でしょうか。
午後5時以降の労働につき、賃金を請求することはできます。さらに、労働契約書や就業規則等において、午後5時以降の労働についても割増賃金を支払うことが記載されているような場合は、午後5時以降の労働につき、割増賃金の支払いを求めることができます。
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- 2. みなし労働時間制・固定残業代
我が社では、配送担当者に対し、出勤時と退社時にタイムカードを押させていますが、仕事は事業所外ですから、みなし労働時間制を取り、残業代は払わず業務手当を毎月7万円支給してきました。ところが、今般、従業員から、残業代が未払いであるとして所定労働時間を超えた労働について、残業代の支払請求をされています。請求額は、毎月5万円程度ですが、応じなければならないのでしょうか。
仕事の内容からして、事業所外労働であっても、労働時間を算定できる場合には、みなし労働時間制を取ることはできません。みなし労働時間制を取ることができない場合には、残業代の支払いが必要です。但し、業務手当が固定の残業代支払いであることが明確にされていれば、設問の場合は、残業代支払請求に応じる必要はありません。
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- 3. 管理監督者
我が社では、全国にチェーン展開している店舗の店長を「管理監督者」として扱い、残業代は支払っていませんでしたが、代わりに、役職手当と職務手当を付けていました。
給与規程にも、「店長は、時間外・休日勤務の手当対象外とする」との規定を置いています。
ところが、ある店の店長が、最近になって、自分は「管理監督者」ではないと主張して、残業代の請求をしてきました。応じなければならないのでしょうか。まず、「店長は、時間外・休日勤務の手当対象外とする」との給与規程の定めは労基法37条に反し無効です。次に、管理監督者への該当性は、①職務内容、権限及び責任に照らし、労務管理を含め、企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか、②その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か、③給与(基本給、役付手当等)及び一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか否かなどの点から判断し(東京地判平成20年1月28日・労働判例953号10頁)、これらを満たさないようであれば、管理監督者とは認められず、残業代支払いに応じる必要があります。ただ、役職手当や職務手当が固定の残業代支払いと認められれば、これらを差し引くことはできます。
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- 4. 残業代請求の時効
従業員が、突然、残業代が未払いであるとして裁判をしてきました。確かに、うちの会社では、残業代を支払っていなかったので、過去2年分の残業代を支払うのはやむを得ないと思っているのですが、従業員は、3年分請求できると言い張って、3年分を払うよう求めています。残業代は2年で時効にかかるのではないのでしょうか。
労基法上の賃金請求権の消滅時効は2年です。但し、長時間の時間外労働が恒常的に行われているのに、会社で何ら手当がされていないといった事情がある場合に、不法行為に基づく損害賠償請求として3年分の残業代支払義務が認められる可能性もありますので、注意が必要です。
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