法律Q&A

法律Q&A

同一労働同一賃金

1. 再雇用職員の労働条件

最近、定年後に再雇用された嘱託社員について、正社員と同様の賃金を払うべきという判決が出たと聞きましたが、詳しく教えてください。

東京地裁平成28年5月13日判決(労働判例1135号11頁)のことと思われます。
本東京地裁判決は、運送会社に勤務する3名の60歳定年後再雇用の嘱託社員につき、定年退職前と全く同じ立場で同じ業務に従事しているにもかかわらず賃金の額に相違があると認定しました。そして、当該嘱託社員の労働契約を労働契約法20条違反により効力を有しないとして、正社員と同様の就業規則の適用を認めました。

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2. 法規制

そもそも、嘱託社員の賃金を正社員と同じにするよう定めている法律などあるのですか。

正面から嘱託社員やパートタイム労働者等のいわゆる非正規社員と正社員の賃金を同一にするよう定めているわけではありませんが、①パートタイム労働法9条(旧8条)は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いを禁止しています。
また、②パートタイム労働法8条及び労働契約法20条は、パートタイム労働者及び有期契約労働者の待遇がいわゆる正社員と相違する場合は、職務内容、当該職務内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理であってはならないと定めています。

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3. これまでの裁判例

これまで、Q3-1の東京地裁判決以外に、いわゆる非正規社員の賃金等が正社員のものよりも低いことをめぐって争われた裁判例はありますか。

近時では①大阪高裁平成21年7月16日判決(労働判例1001号77頁)、②大分地裁平成25年12月10日判決(労働判例1090号44頁)があります。
①大阪高裁判決の事案の当時、労働契約法20条・現パートタイム労働法8条の規定は存在せず、現9条の適用が問題となりましたが、原告は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者には該当しないと判断されました。
②大分地裁判決は、パートタイム労働法旧8条(現9条)の適用が問題とされた結果、通常の労働者と同視すべき短時間労働者であるにもかかわらず正社員より賃金等で待遇が劣るとして、旧8条違反による不法行為の成立を認めました。

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4. 今後の対応

なぜ、Q3-1の東京地裁判決は、話題を呼んでいるのですか。注意点はありますか。

定年後の再雇用が問題とされたためと考えられます。
本東京地裁判決に基づくと、定年後再雇用の嘱託職員について、賃金を大幅にカットしつつ、定年退職前と全く同じように勤務させていた場合には、労働契約法20条違反が認められる可能性が高く、注意が必要です。もっとも、同事件は現在控訴審係属中であり、今後の動向に注意する必要があります。

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